『特派員報告』
テン・テン・ツク・テン・テケ・テン・テン・テケ・ツク・テン・シャン・テン・の・スッ・テケ・テン・・・ え〜、毎度ありがと〜さまございます。へたな日本語ですんまへん。え〜、ワタクスはまだ前座でございまして、本名はヘンテ・コリンと云いますです。師匠は、それなら芸名は「へんてこりん」がいいと云うことで、・・・即決してしまいました。ワタクスの知人の友人のそのまた知人の友人の知人の友人がですな、外国通信社の日本特派員として派遣されて来ましたんですわ。文化の相違もあってなかなか大変みたいですよ。
デスク 「ヘイ! スットコ・ドッコイ!君は、海外特派員の経験は始めてだが、ひとつ云っておく。異質な文化に早く溶け込むことだ。いいか、忘れるな!」
スットコ 「ハイ、しっかりやりますです」
デスク 「君の担当は、" 最近の日本の政局 " というコラムだ。読者に受けるニュースであることは必要だが・・、記事を面白おかしくデッチ上げるなよ。ワカッタナ!」
スットコ 「ハイ・ハイ・OK・OK・よ」
デスク 「返事は一回でええわぃ。このドアホめ!」
・・・というわけで、勇んで日本に赴任して来ました。・・で、彼は、まず日本語の勉強を始めようとしたんですが、任地が大阪だったので、とりあえず大阪弁を覚えましたようで・・。
3月1日
スットコ 「ニュース送りまっせぇ」
デスク 「 おまえは、誰だ?」
スットコ 「やだねぇ・・。特派員のスットコ・ドッコイでんがなぁ。大阪弁で送ったるでぇ」
デスク 「 母国語を忘れたのか! このアホンダラめ!」
スットコ 「デスクに云われた通り、異文化に溶け込んでますねん」
デスク 「 まぁ、ええわい・・。大坂弁でやれ・・」
スットコ 「へぇ、最近の日本の政局でんが、まあ、なんとも複雑怪奇でんね」
デスク 「"へぇ"と云う単語の意味が解らん。何だ・・"へぇ"とは」
スットコ 「へぇ、異質な言葉の勉強や思て最近、寄席に通うてますよって、つい口癖になりやして、"ハイ"と同じと思いなはれ。へぇ」
デスク 「その"YOSE"とかに行くのも、ほどほどにせえ。・・で、政局がどうした?」
スットコ 「森内閣の支持率は8%まで落ち込んでまっせぇ! せやけど、まだ倒れまへんねん」
デスク 「なぜだ? 日本にも野党はあるだろう・・?」
スットコ 「へぇ、野党は一応あることはありまっせぇ」
デスク 「あったら何してんのかいな? 居眠りか?」
スットコ 「一応、起きてるようですがな・・・。内閣不信任案を出すのと、証人喚問をすることで、存在感をアピールしようと躍起になってますがな。一方、与党サイドは、森首相のドジ・ヘマや議員達の収賄事件や官僚達の横領事件などがこのところ続発しよって、もうガタガタですがな・・。首相は『レ−ムダッグ』(死に体)、蔵相は『惚けヨーダ』、首相の取り巻きは、おおかた『裏仕事師』(ギャング)達で占められ、野党はニワトリみたいに騒ぎ回ってまっせぇ。国会も政策論議どころでは、おまへんな・・」
デスク 「ガタガタなら、欠陥をどんどん突いて与党を追い詰め易いだろ」
スットコ 「それが、突っ込みが足らへん・・とマスコミに批判されてまんね。もっと漫才観て、突っ込み研究せなあきまへんな」
デスク 「頼りない野党のおかげで内閣も首が繋がってると云うわけだな?・・で、いろいろと不評の多い首相とはどんな男だ?」
スットコ 「へぇ、就任以来、一度も緊張感を持たずに首相の座に居る男・・とマスコミも国民も呆れ返ってまんね」
デスク 「日本の首相職は、そんなに気楽なのか・・?」
スットコ 「気楽とは思えまへんが・・・、本人は気楽と思てるフシはありまんな。とにかく失言や愚挙がやたら多過ぎて、どもならんと悪評たらたらでんね」
デスク 「どうやれば、そんな男でも首相になれるんだ?」
スットコ 「へぇ、密室で裏仕事師達にゴニョゴニョと候補に上げてもろてやな、あとは党大会で正式指名してもろて、一丁上がりでんがな」
デスク 「村の縁日の手品みたいだな。信じられん!?そんないい加減な内閣に対して、国民の反応はどうなんだ? デフレ危機の折から、各地でデモなど起きて大変な騒ぎだろ?」
スットコ 「それは素人考えでんな。国民は静かでっせぇ。マスコミのアンケートに"内閣不支持"と答えてるだけでんね」
デスク 「信じられん!? ワシの若い頃は、"全学連"とか"総評"とかの団体が、国会議事堂を取り巻いて、連日デモをやっとったもんだ」
スットコ 「今の学生達は大多数が引きこもり派で、プライベートな遊びにしか興味あらへんね。 半分以上の若者達は、政治には、まるっきし無関心でっせぇ。携帯電話で、夢中になって遊びまくってまんね」
デスク 「どれもこれも、信じられん!?君は、話を面白くしようとデッチ上げてないか?」
スットコ 「デッチ上げやおまへん。ほんまの話しでんがなぁ」
3月5日
スットコ 「ニュース送りまっせぇ」
デスク 「 今日はなんじゃい?」
スットコ 「森内閣不信任案は、与党の反対多数によって否決されましてんね」
デスク 「 では、森内閣で当分やっていくということか・・」
スットコ 「そうでもないようですがな。与党の首脳陣は、"森降ろし"を画策し始めたようで・・」
デスク 「内閣不信任案を否決しておきながら、内閣を潰す・・奇妙な話だな?」
スットコ 「このあたりが複雑怪奇でっしゃろ? 森首相の周辺では、裏仕事師達が画策してまんね・・。ただ、森首相本人は、信任されたと自信を持ったようですがな」
デスク 「ノー天気な男らしいな・・。なにやら面白くなりそうだ。いいか、永田町から目をはなすな!」
スットコ 「へぇ、任しときなはれ」
デスク 「・・と云いたいところだが。どうも話がオモロ過ぎる・・。君は、話を面白くしようとデッチ上げてないか?」
スットコ 「デッチ上げやおまへん。ほんまの話しでんがなぁ」
3月10日
スットコ 「ニュース送りまっせぇ」
デスク 「 今日はなんじゃい?」
スットコ 「森首相が、とうとう辞意を表明したようなんで・・」
デスク 「 ようなんで・・とは、何じゃい。何処で、どういう風に?」
スットコ 「へぇ、官邸の密室で裏仕事師達に、ゴニョゴニョ・・と」
デスク 「 また、ゴニョゴニョ・・か。日本の首相は密室で生まれて、密室で消えるのか? 深海生物みたいだな」
スットコ 「せやけど、野党の質問に対して、あれは辞意ではない・・と強弁してますねん」
デスク 「 痔意の間違いではないのか? 本音はそんなところだろう・・」
スットコ 「そうかも知れまへんな・・。一方、野党は、首相が痔意を表明したら、国会審議を拒否する・・と息巻いてまんね」
デスク 「辞めろ辞めろと云っておきながら、矛盾してるやないか。正気かな?」
スットコ 「当の首相は、何を云われても、カエルのつらにションベンでっせぇ。裏仕事師たちも、誰が首相の首に鈴をつけに行くかで、思案投げ首てとこやね。首相は、"オレの首に鈴をつけに来たやつは、即刻クビにしたる"・・と吠えたあと、来週はアメリカとロシアに首脳会談に出かけるんやと 張り切ってますねん」
デスク 「ヒッヒッヒッ・・ いいかげんにせい! このオタンコナスめ! そんなわけのわからん男にやって来られたら、相手国もえらい迷惑だろう。時間と労力と経費の無駄遣いになるからな。 それに、またくだらない失言を聞かされる・・。君は、話を面白くしようとデッチ上げてないか?」
スットコ 「デッチ上げやおまへん。ほんまの話しでんがなぁ」
・・あわれな特派員氏は、すっかりしょげ返って、 とうとう、公園のベンチで頭を抱え込んでしまったようで・・。 スットコ 「送るニュースがどれも、ぜんぜん信用してもらえへんがなぁ・・。ほんまに、えらい国に来てしもたでぇ・・」
女子高生A 「 外人はん。どないしたねン・・?」
スットコ 「じつはね、かくかくしかじか・・」
女子高生B 「そない信用してくれへんなら、いっそのこと、メチャでっち上げ記事書いてバンバン送りなはったら、胸がスカーッとするンよ」
スットコ 「あ、せやな。あの石頭のデスクをカンカンに怒らせたろ・・」
3月11日
スットコ 「ニュース送りまっせぇ」
デスク 「 今日はなんじゃい?」
スットコ 「へぇ、とうとう財界は、今の政界に見切りをつけて、とんでもないプロジェクトをスタートさせましたんね」
デスク 「どんなプロジェクトだ?」
スットコ 「へぇ、財界はソニーとホンダと何社かのゲームソフトメーカーに依託して、優秀な政治ロボットを量産してもらい、国会議員をそっくりロボット議員に入れ替えるそや」
デスク 「おーっ、なんと・・!! ”脱永田町改革”とは、こういうことだったのか !! さすが技術大国日本。こいつはビッグニュースだ !! でかしたぞ、ボケナス !」
スットコ 「なんや。ほんまにもおーっ。やってられへんワ・・」
お後がよろしいようで・・
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